より詳しい研究報告 研究報告4 ウシ後期初乳によるI型アレルギー症状緩和作用の検討

1.I型アレルギー症状緩和作用とメカニズム

【目的】

本研究では、アレルギーモデルマウスの使用により、ウシ後期初乳のアレルギーに対する効果とメカニズムを検討することを目的とした。

【方法】

Nc/Ngaマウス5週齢に0.5%ウシ後期初乳配合餌(初乳群)または普通餌(コントロール群)を与え、毎週1回ダニ抗原の耳介注射を行い21週齢まで飼育した。飼育期間中、アレルギースコア(出血、浮腫、脱毛など)と耳厚を測定した。また、21週齢目に脾臓中の免疫細胞割合とmRNA量を測定した。

【結果】

ウシ後期初乳の投与期間中、アレルギースコアおよび耳厚に減少が確認された。免疫細胞割合とm-RNA量の解析では、Th1,2細胞数の減少、IgE産生細胞数、IgE量の減少、肥満細胞数の減少が確認された。

アレルギースコア / メカニズム仮説

【考察】

アレルギースコアと耳厚の減少から、ウシ後期初乳にはI型アレルギーの症状緩和作用があることが示唆される。IgEや肥満細胞の減少からは、I型アレルギーの発症に関連する免疫状態の改善が、アレルギー症状の緩和におけるメカニズムである可能性が示された。

【研究者コメント】

初乳は免疫系の出来上がっていない出生直後の哺乳動物の唯一の食物です。そのために種々の感染予防成分が含まれることは以前からよく知られたところです。一方、本結果は、初乳にはアレルギーや自己免疫疾患などの免疫系の異常により生じる疾病を予防する成分も含まれることを示唆しています。

信州大学
大谷元 教授

信州大学 大谷元 教授

2.花粉症の症状緩和効果

【目的】

本研究では、代表的なI型アレルギーのひとつである“花粉症”に対するウシ後期初乳の効果を明らかにすることを目的とした。

【方法】

ボランティア(花粉症患者:30-60歳男女:18名)の協力を得て、本試験を実施した。ボランティアの重篤度が均等になるよう2群に割付の上、二重盲検試験とし、試験食品(初乳群:ウシ後期初乳1g/day、プラセボ群:脱脂粉乳1g/day)を花粉飛散2週間以上前より3ヶ月摂取し、自覚症状(くしゃみ発作、鼻汁、鼻閉、日常生活の支障度)および使用薬剤を自己申告にて記録。記録は、鼻アレルギーガイドライン(2009年)に基づきSMS値を算出し、花粉飛散前のSMS値の平均値から花粉飛散時期の平均値の変動について評価した。別途、試験開始前と終了時には血液を採取し、アレルギーに関連する指標も測定した。

【結果】

SMS値変化量からウシ後期初乳の摂取による花粉症の症状緩和が確認された。初乳群においては、症状の発症が見られないボランティアも2名いた。血液検査では、IgEの減少傾向と好塩基球数の減少傾向が見られた。

【考察】

ウシ後期初乳による花粉症の症状緩和効果があることが明らかとなった。また免疫細胞の解析からは、スギ花粉特異的IgE抗体の減少傾向、好塩基球数の減少などの可能性も見られた。

【研究者コメント】

信州大学 大谷元 教授による研究の結果と花粉症の結果から、ウシ後期初乳はヒトのアレルギー症状の緩和効果が大いに期待できる素材と考えられる。今後、その効果だけでなく、効果を発現するメカニズムの検討も必要と考えている。

小林製薬
内田健志 研究員

小林製薬 内田健志 研究員

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