より詳しい研究報告 研究報告3 ウシ後期初乳による感染症予防効果および 免疫賦活効果の検討

1.感染症予防効果

【目的】

ウシ後期初乳には、病原体の無害化作用のあるIgG(イムノグロブリンG)が多く含有していることから、様々な感染症に対する予防効果が期待できる。本研究では、ヒト臨床試験にて上気道感染症に対するウシ後期初乳の効果を明らかにすることを目的とした。

【方法】

ボランティア(小児3-6歳男女127名)の協力を得て本試験を実施した。ボランティアは無作為に2群に割付の上、二重盲検試験とし、試験品(チュアルブ錠 初乳群:ウシ後期初乳500mg/day、プラセボ群:脱脂粉乳500mg/day)を2ヵ月間摂取し、試験期間中における喉の症状(喉の痛み、咳)と発熱の状況を母親が記録した。
喉の痛み2日以上、咳1日以上を上気道感染症と定義し、発症回数と治癒までの日数を測定した。また発熱(38度以上)においては、重篤な発症と定義の上、解析を行った。

【結果】

ウシ後期初乳を摂取したボランティアでは、上気道感染症の発症率が60%程度まで減少した。また、発熱を伴う上気道感染症が発症した場合で、治癒までの日数が50%程度まで短縮した。

平均発症回数 重篤な発病における平均治療日数

【考察】

ウシ後期初乳は、小児における上気道感染症の発症率を低下させ、また発症した場合でも、治癒日数を短縮することが示された。また、成人(30~60歳女性)における同様の試験においても、発症率、治癒日数ともに減少することが確認された。年齢の異なる両試験結果から、ウシ後期初乳は、年齢に関わらず上気道感染症予防に有効であることが示唆される。

2.免疫賦活効果~唾液中のS-IgA

【目的】

上気道における感染症予防に関与する代表的な自己の免疫成分のひとつとして、唾液中のS-IgA(分泌型免疫グロブリンA)が報告されている。本研究では、ウシ後期初乳の上気道感染症予防メカニズムを明らかにするため、唾液中S-IgA濃度に与える効果を確認することを目的とした。

【方法】

ボランティア(30-60歳男女26名)の協力を得て本試験を実施した。ボランティアのS-IgA濃度が均等になるよう2群に割付の上、二重盲検試験とし、試験食品(チュアブル錠)(後期初乳群:ウシ後期初乳1g/day、プラセボ群:脱脂粉乳1g/day)を3ヵ月間摂取した。ボランティアの初期・2ヵ月後・3ヵ月後の唾液を採取し、ELISA法にてS-IgA濃度を測定した。S-IgA濃度については、ボランティアの初期値の平均で各群をS-IgA低値者(平均未満)、S-IgA高値者(平均以上)の2群に分け、それぞれをコントロール群と初乳群で解析した。

【結果】

ウシ後期初乳を摂取したS-IgA低値者は、唾液中のS-IgA濃度が増加。またその3ヵ月後の平均値は、S-IgA高値者と同等であった。

S-IgA低値者における変化

【考察】

ウシ後期初乳の摂取により、唾液中のS-IgA濃度を増加し咽頭内の感染防御機能が向上していることが示唆される。

3.免疫賦活効果~NK細胞活性

【目的】

ウシ後期初乳の治癒日数短縮効果メカニズムの検討として、ウイルス感染初期の感染阻害に関与するNK細胞に対する効果を確認することを目的とした。

【方法】

12週齢のBALB/cマウスを一週間順化後、ウシ後期初乳2000mg/kg/day または水を3週間(週6日)強制経口投与した。強制経口投与後、パイエル板、脾臓、肺を摘出し、単細胞化した後、Yac-1細胞障害性(NK活性)をE:Tレート=20:1で測定した。また、同マウスに、インフルエンザウイルスPR-8株(106.9TCID50)を鼻腔接種し、3日後に20ulのPBSで下気道へ押し流し、その後の発症(体重減少、毛の逆立ち)を確認した。

【結果】

ウシ後期初乳は、パイエル板、脾臓、肺の単細胞におけるYac-1細胞障害性が向上した。また、そのマウスでは、インフルエンザウイルス感染後の発症率が減少した。

肺単細胞におけるYac-1細胞障害性 インフルエンザウイルス感染後の発症率

【考察】

ウシ後期初乳は、パイエル板、脾臓、肺のYac-1細胞障害性を増加したことより、それぞれの臓器で、NK細胞が活性化したことが示唆される。また、ウシ後期初乳を投与したマウスでは、インフルエンザウイルス感染後の発症率が下がった。NK細胞は、ウイルスが感染細胞に障害を与える効果があるため、NK細胞の活性化がインフルエンザウイルス感染後の発症阻害メカニズムのひとつとして考えられる。

【研究者コメント】

本研究では、ウシ後期初乳の摂取(投与)によってウイルス感染の初期段階を防御する唾液中のS-IgA濃度やNK細胞活性を向上させることが示された。一方、ウシ後期初乳には、IgAを代表とするウイルス感染を阻害する成分も豊富に含まれている。自己免疫賦活の効果と感染を阻害する成分がウシ後期初乳における感染予防・治癒促進の効果に関与していると考えられる。

小林製薬
内田健志 研究員

小林製薬 内田健志 研究員

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