より詳しい研究報告 研究報告2 ウシ後期初乳における ロタウイルス感染時の下痢症状緩和作用の検討

【目的】

ロタウイルスは、乳児下痢症や嘔吐下痢症の原因として知られており、全世界では年間に約60万人が感染により死亡していると推定されている。また国内でも年間約80万人が医師の診断を受けていると推定され、非常に感染率も高く、重篤な下痢や中枢神経に影響した合併症も引き起こす可能性のあるウイルスである。ウシ初乳には、ロタウイルスに対する抗感染作用が期待され様々な研究が蓄積されているが、本研究ではウシ後期初乳の有用性をヒトロタウイルス感染モデルマウスを用い明らかにすることを目的とした。

【方法】

生後5日目のBALB/cのマウスに、50ulの試験溶液(ウシ後期初乳 0.1mg、1mg、2.5mg含むPBS溶液)を強制経口投与した。試験溶液投与の30分後、50ulのヒトウイルスMO-Ⅲ株溶液(1.7X10^5cfu)を強制経口投与し、24、48、72、96時間後における糞便の性状をスコア評価し、症候性感染率を算出した。

【結果】

【結果】

ウシ後期初乳0.1mgの投与においては、下痢症状の緩和作用は観察されなかったが、1mg、2.5mg投与において下痢症状の緩和が観察された。特に2.5mg投与では、48、72、96時間後で統計学的に有意な下痢症状の緩和効果を示した。

【考察】

本試験では、ウシ後期初乳においても抗ロタウイルス活性による下痢症状の緩和作用を有することが明らかとなった。また別途実施した投与回数設定の試験では、わずか0.3mgのウシ後期初乳を感染前に1回、感染後24時間以内に3回投与することで下痢症状の緩和効果を示すことも確認できている。以上の結果から、ウシ後期初乳における抗ロタウイルス作用は、摂取量の増加もしくは継続的な摂取により、その高い有用性を効果的に発揮するものと考えられる。

【研究者コメント】

ロタウイルスはいつどのような経路から感染するかわからない。よってヒトがウシ後期初乳を利用する場合、継続的な摂取によって感染を効率よく予防できるのではないかと考えている。ウシ初乳には、IgG(イムノグロブリンG)を始めとする抗ウイルス作用が解明された成分も多く発見されているが、更に研究を進めることで新たな成分の発見可能性も高く、更なる研究を推し進める有用な研究素材と考えている。

岐阜大学
金丸義敬 教授

岐阜大学 金丸義敬 教授

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